コロナ過にも関わらず海外出張を敢行した私。
本当に実行できるのかどうかもよく分からない隔離期間短縮も無事クリアし帰国前のPCR検査も「陰性」。
これで過酷な出張も終盤を迎えました。
いよいよ帰国です。
帰国前にかかってきた電話
帰国前のPCR検査も無事に陰性となり、あとは日本へ帰るだけとなりました。
誤算は帰国時に予定していた航空便がキャンセルとなったことです。
他の航空会社は全て欠航という状況ではいかんともしがたく、結局1日遅れの便に変更するしか有りませんでした。
急にできてしまった1日の空白期間。
「観光でもして時間を潰すかな。」
などと呑気に構えていたのですが、事態は予想外の方向に動きます。
完全フリーを翌日に控えた夕方。
私の同行してくれている商社さんに電話がかかってきました。
当然商社さんは仕事で忙しいわけですから電話がかかってきても不思議はありません。
ですので最初は気に留めていませんでした。
しかしこの電話が長い。。。
中国語での会話なので何を言っているのかは分かりませんが、表情からはややこしそうな雰囲気が伝わってきます。
結局その電話は1時間位続きました。
その電話の内容、私とは関係ない別の仕事のことかと思っていたのですがそうではありませんでした。
実は日本から台湾に訪問していた日本人の方が帰国後のPCR検査で陽性になったそうです。
その人は私とは異なり短期申請はしておらず通常の14日隔離だったため台湾内でのPCR検査を受けていなかったらしい。
ですので感染した状態で台湾に滞在していたのではないかと言うことでちょっとした問題になっているようでした。
そして慌てた保健局は同じ時期に台湾にいる日本人は大丈夫なのか?ということで私の関係者に連絡してきたということです。
それまでは滞在している地方の保健局とのやり取りだったそうですが、今回は中央政府の保健局から直接電話してきたそう。。。台湾当局の狼狽ぶりが伝わってきます。
電話では私の行動について許可申請時の通り行っているか?、夜の街に出歩いていないかなどの再確認と、帰国まで大人しくしておくようにと釘を刺すという内容のでした。
商社さんは「台湾内でPCR検査を2回も受けて陰性だから問題ないでしょう。」と説明してくれたのでその程度で済んだようです。
それにしても帰国前に再度隔離にならなくてほんと良かった。
ちなみにその当日から、隔離期間の緩和対象から日本が外れてしまいました。
さすが台湾、対応は迅速です。
そんな訳で少しドキッとしたものの予定通り帰国はできそうです。
まあ、当局の方もややこしいから早く帰ってくれというのが本音でしょうしこれ以上の足止めはないでしょう。
ホテルから空港までは深夜に移動
こうして若干の制限を喰らいながらフリーの一日を過ごし、ついに帰国当日になりました。
帰国するために乗る航空便は台北の空港出発です。
そしてこの空港への移動にも公共交通機関は使えません。防疫タクシーでの移動になります。
車で台南から台北に移動する場合は5時間弱かかります。
帰国前日はフリーでしたので本来ならその日のうちに空港近くのホテルまで移動して宿泊すれば移動は楽に済ませられます。
しかし、私は健康観察期間の身です。
宿泊するホテルは保健当局から指定されていて変更はできません。
今宿泊している台南のホテル以外のホテルは許可されていませんので台北宿泊はNG。
しかしフライトは早朝8時。
残された方法は当日早朝(というか深夜)に移動するしかありませんでした。
という訳で、帰国当日の深夜2時。
日本では草木も眠る丑三つ時に起き出した私はタクシーに眠気まなこで乗り込み一路空港に向かいました。
帰りの空港も閑散。。。そして出国
さて、防疫タクシーの運転手さんが眠気も吹っ飛ぶほどのスピードで走ってくれたおかげで、余裕を持って空港に到着しました。
到着した空港は早朝ということあって閑散としています。
空港の国際線発着便の電光掲示板を見てみると軒並み「Cancel」表示。
やはり別に早朝だから閑散としているわけではなくコロナの影響が続いているようです。
フライトの時間まで少し時間がありましたので腹ごしらえしたいところですが、食事ができるお店もほとんど閉まったままです。
ようやく見つけた空港内のフードコートで唯一営業していた食堂で腹ごしらえしました。
そうして少し早いですが出国手続きを行うことにしました。
移動の防疫タクシーの中で航空会社へのチェックインは済ませていましたので、荷物を預けるだけ。。。
のはずでしたが、入国から出国までの期間が14日間と短期間だったので引っかかりました。
ここは、保健局発行の許可証を見せてクリア出来ました。
次は出国審査です。
荷物検査を抜けると出国審査になります。
通常は無人カウンターで手続きが出来るようで私も最初そちらに案内されました。
読み取り機にパスポートをかざします。
...「エラー」
それを見て有人のカウンターへ行くように言われました。
次に有人カウンターに行きパスポートを提出します。
カメラに向かいながら指紋の読み込みと順調に進んでいるように見えたのですが、やはり期間短縮で引っかかったようで、別のカウンターへ行くように指示されました。
次に行ったカウンターでは3人位に囲まれました。
手持ちの書類を全て提示し、違法ではないことをアピールします。
書類をコピーされたりいくつか質問されたりと結構時間がかかりましたがなんとか承認されたようです。
無事出国のスタンプを頂き手続き終了。
こうして、ようやく入ることが出来た出国エリア。
やはり人影はあまりなく閑散としています。
ショップの営業も半分くらいでしょうか。
その中の一つでお土産のパイナップルケーキを購入しました。
店員さんが少し日本語が出来ましたので聞いてみると、
「とにかく暇。」
これに尽きるそうです。
空港までの交通機関である地下鉄も減便されているそうでここでもコロナの威力を目の当たりにしました。
その後搭乗ゲートに移動。
台湾への往路より乗客はかなり少ないようです。
この時期ですので日本から台湾に帰る人はあってもわざわざ日本に行こうという人はいないようです。
「そりゃそうだよなあ。」
そんなことを思いながら、ガラガラの飛行機に乗り帰国の途に着きました。
帰国、PCR検査そして自宅待機
帰りの飛行機はガラガラでした。恐らく1割も席が埋まってない状態です。
CAさんは往路と同じように防護服を来ており物々しい雰囲気は変わりません。
機内サービスも相変わらず簡素なものです。
そんな状況ですので空の旅を満喫することもなく、機内でやったことといえば検疫調査票への記入くらい。
そんな調子で3時間ほどのフライトを過ごしました。
そうしてついに到着した関西空港。
いつもなら着陸の順番待ちなどがあったりするのですが、それもなくあっさり到着しました。
飛行機がゲートについても直ぐに降りることは出来ません。
まず、検疫担当の方が乗り込んできて検疫調査票の確認と体温チェックを行います。
今回は乗客が少ないので10分ほどの機内待機でしたが満席だったら相当な時間待つ必要がありそうです。
実際に最初の案内では30〜40分程度待機する必要があると言われましたし。
そして、問題ないということで手荷持を持って飛行機をおります。
するとゲートに検疫官が待ち構えていて検疫所まで先導していきます。
ちなみに帰国時もシャトルは運休のままでした。
徒歩で検疫所まで向かうのですが、その通路の両側にズラッと椅子が並べてありました。
恐らくPCR検査を受ける前の待機に使うのでしょう。
今回は乗客が少ないのでこの椅子に座ることはなかったのですが、今後航空便が増えるとここんなところで長時間待つことになるようです。
そして到着した検疫所。
そこにも椅子が並べられています。
臨時の受付が設けられていて順番に手続きをしていきます。
受付後、コロナに感染していないかの検査を受けます。
その検査方法ですが8月からは抗原検査に変わっていました。
検体の採取方法は衝立で区切られた検体採取ブースに容器を持って入り自分で唾液を採取します。
それを提出すると、次に待機場所に案内されます。
抗原検査はPCR検査と違って検査の結果が出るまでの時間が大幅に短縮できるそうです。
そこで、それまでは検体採取後に帰宅できたところを結果が出るまで待機し陰性が確認できてから帰宅する方法に変更となりました。
これに2〜3時間かかるとのこと。
その間は使っていない搭乗ゲート前の搭乗ロビー(減便で場所は山ほどある)に航空便ごとに分けて待機することになります。
入国は結果が出るまでお預けです。
今回は帰国者が少ないため1時間ほどで結果が判明しました。
順番に番号で呼ばれます。
その場で陰性でしたと言われ、そのまま入国審査へと向かうことが許されました。
そうなるとあとは簡単です。
無人の審査ゲートに行き、パスポートを専用の機械に読み取らせ入国審査終了。
荷物を受け取り、荷物審査を受けて無事終了。
とにかく乗客がいないのでこの辺はあっという間に終わります。
麻薬探査犬も手持ち無沙汰なようで手当り次第検査しているようでしたし。
私もクンクンされました。
あとは閑散とした空港ロビーを抜け、同じく閑散とした駐車場から長らく駐車したままになっていた愛車に乗り込み、空港をあとにしました。
ちなみに駐車料金20,000円近くかかりました。
最後の難関、自宅待機14日間
空港から自宅までクルマで約2時間。
途中あまり寄り道するなと言われていましたので真っすぐに帰宅しました。
約2週間ぶりの我が家は普段通りそこにありました。当たり前ですが。
ここからは、帰国翌日から数えて14日間の自宅待機になります。
この自宅待機中、保健所から体調確認が毎日あると聞いていました。
毎日の電話は面倒です。私も多分保健所も。
ところがこの電話攻撃を避ける方法がありました。
LINEの利用です。
台湾滞在時同様に日本でも電話での確認のほかLINEでの確認という方法もあり、日本到着時の検疫の際に教えてもらえました。
早速登録。
登録すると、毎日朝10時ごろにLINEにメッセージが届きます。
「アンケート」をクリックすると、
・本人及び家族の体温が37.5℃を超えていないか。
・せきや味覚障害などの体調不良はないか。
毎回この2問に答えるよう促されます。
いずれも”はい”か”いいえ”をクリックするだけです。
私は自粛期間中全て「いいえ」でしたので特に問題有りませんでした。
もし、「はい」を押していたら。。。どうなったんでしょうか?
台湾みたいに警察に囲まれる。ということはないと思いますが。
地元の保健所からは自宅待機3日目と最終日に電話がありました。
それ以外はLINEの情報が届くのでそれで確認するそうです。
最初の電話では細々と注意事項の説明があります。
・出来るだけ別室で一人で過ごすこと。
・食事も出来れば別々で。
・入浴は最後にすること。
・トイレに行くたびに触ったところを消毒すること。
・勿論外出は不可。
結構厳しいですが、台湾のようにGPSで捕捉されるわけでもなく、電話も携帯番号の登録でもOKなので厳密には外出がばれることはなさそうです。(しませんでしたが)
その点では台湾より規制は緩いと思います。
こうして、比較的緩い自宅軟禁の14日間は無事に過ぎていきました。
たまたま盆休みが被っていたので会社としては都合が良かったのですが個人的には休みとはいえ外出禁止なのでストレスが溜まります。
そこで社長に直談判し特別休暇をゲット。
盆休みとは別に2日休みを追加してもらえました。
結局会社に出社したのは8月の末、この夏はほぼ台湾と日本での自主隔離で過ぎてしまいました。
長い出張を終えて
こうして厳しい夏は終わりました。
過去にもSARSなどで海外出張を見合わせた経験は有りますが今回ほど大変な出張は経験したことはありません。
・ビザの特別申請
・航空便がキャンセル続出している中での日程調整
・台湾での日程短縮の手続き
・公共交通機関を使わない移動(日本、台湾)
そして何より台湾7日、日本14日の自主隔離が厳しかったです。
幸い、何度か義務付けられている新型コロナの感染確認で問題なかったので予定通り日程をこなすことができましたが、精神的にはほぼ限界に近いものがありました。
しかし今思い返すと6月末に台湾の入国規制が緩和された情報を入手し直ぐに動けたのが結果的に良かったです。
ともすればもう少し緩和されるまで様子見するという方向に流れそうでしたが、逆に厳しくなるといつ出張できるか分からないと思い即行動に移したため、僅か1か月の緩和期間にうまく合わせて業務をこなせることができました。
当時の自分の決断と行動力をほめてやりたいです。きつかったとはいえ。。。
もう一度行けと言われたら辛いですが、1回限りであれば良い経験が出来たのかな。
でも次に生かす機会がないことを祈っています。
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