
企業が大規模なリストラとして人員削減、希望退職を募るという方法があります。
この際に、退職に応じる見返りとして退職金の増額や転職支援サービスを提供するというのが一般的。
一見手厚いこの処遇も少し事情が変わってきている様です。
企業がリストラするとき、後押しする作戦とは
リストラ。。。あまり響きが良くないこの用語。リーマンショック以降よく聞くようになりました。
聞こえるだけなら良いのですが、この対象になってしまったサラリーマンさんも相当いるのではないでしょうか。
私もその一人です。
10数年前に勤めていた会社が業績不振からリストラを敢行、希望退職が募集されました。
悩んだ末、希望退職に応募し、その会社を退職しています。
ただ、普通に人員削減しようと希望退職を募ってもそう簡単に応募はありません。
退職に応じるためのエサ。。。もとい、優遇措置が必要になります。
そのひとつ目は割増退職金です。通常の退職金に給与の〇〇か月分追加で支給するというものです。私の場合20か月分ほど増額されました。
二つ目が転職支援サービスの提供です。
転職支援のサービスはCMでもよく目にしますが、会社側が契約することによってかなり強力に支援してもらえますので転職することに不安を覚えている従業員への後押しになります。
かくいう私も退職金の増額だけでは退職に踏み切れなかったかもしれません。
手厚い転職支援が得られるというところが転職に不利なアラフィフだった私の背中を押したのは確かでした。
。。。それでも苦労したのですが。。。
一般の転職支援サービスとの違い
さて、その転職支援サービス、リストラする側の企業が直接契約する形態になります。
転職といえば。。。CMではリクリートとかデュ-ダとかマイナビとかを山ほど見かけると思います。
これらと同じ会社が運営しているのですが、少し異なります。
CMで流行りの転職サービスは求人を出す側の企業が手数料を支払うという契約内容です。
転職サービスから紹介された候補者を採用する場合、成功報酬として予定年収の〇〇パーセントをエージェントに支払うといった感じ。
その報酬率、だいたい基本給1年分+賞与の30~35パーセントが相場になります。
すると一人採用する度に100万円単位の費用が発生することになります。
結構な経費が掛かるので採用にも慎重になります。
対してリストラする側の企業が契約する場合はすでにリストラする企業から契約金が支払われていますので、紹介を受けて採用する側の企業は手数料を支払う必要はありません。
ですので、採用側企業にリスクが少ないのでより転職できる可能性が高くなります。
ある会社のリストラが勃発。転職支援が開始される
私は今の勤め先では採用の窓口もしています。
慢性的な人手不足に頭を悩ませる日々を送っているのですが、そんなある日、付き合いのある転職エージェントから電話がかかってきました。
新たなリストラの話です。
県内にある大手企業の工場が近々閉鎖になるとの情報。
ネットで検索すると確かにそのニュースがありました。
他地区の工場への転勤も出来るようですが、かなり遠方のため多くの社員は退職する可能性が高いそうです。
そして、お決まりの転職支援サービスを提供することになり、今回電話してきた転職エージェントがその企業と契約をしたそうです。
で、転職先の候補として当社に打診がありました。とはいえ具体的に紹介されたわけではなく専用のサイトに求人を載せませんかというお誘いです。
工場の閉鎖ですので年齢層も幅広く、また本人の意思で退職するわけではないので人材としても再離職の可能性は低い。
加えて大手企業の人材なので優秀な人材が期待できそう。
これで、採用手数料が不要となれば千載一遇のチャンスです。
新規採用してもすぐ退職してしまうという負のループから解放されるぞ。。。
最近は採算が取れないそうで
めったにないチャンスに早速求人を出そうかと意気込む私。
はやる気持ちを抑えながら念のために確認しました。
今回は送り出し側の企業との契約なので手数料はかからないですよね?
。。。歯切れの悪い担当者。
申し訳なさそうに口を開きます。
「tobiuoさん。。。それが。。。
最近は契約金がかなり低く抑えられるようになっていまして。。。それだけでは採算が取れなくなっているんです。。。」
なんと、送り出し側がお金を渋る時代が来たそうです。
リストラ経費までリストラされるとは。。。
ただ、そうはいっても無料で契約している訳ではないはずです。
手数料がかかるのは仕方ないとしても通常よりは低いのでは。。。
聞くと言い出しにくそうに、
「それが、通常と同じ35パーセントになるんですが。。。」
100万円単位の支出が必要、そりゃ無理だ。予算組んでない。
敢え無く希望がしぼんでしまいました。
リストラ転職支援市場は採算とれず
以前は人員削減には必要な経費と認識されていた転職支援サービスですが、今や様変わりしているようです。
実際に競合していた他社はこの事業から撤退してしまったとのこと。
この会社は何とか踏ん張っているものの、あまり採用側にうまみの無い提案となっているようです。
「人材は通常の転職市場と違い、粒ぞろいですから!」
売り文句はこれのみです。
そうは言っても費用が掛かり、しかもそれが百万円単位となると我々のような中小企業にはなかなかつらい条件です。
資金が潤沢にある企業はライバルが少なくなって良いのでしょうが。
しかし、私も簡単に諦めません。
頑張って交渉し、15%の手数料で折り合いを付けました。
ただ、これだと転職支援会社の儲けが少ないのでよほど転職が難航した時しかお声はかからないかもしれません。
やはり、何につけてもお金がないと厳しい世の中です。
これから希望退職に応募しようか悩んでいる方々。。。会社が用意する転職支援サービスがあてにならない時代もすぐそばに来ているかもしれません。
お気を付けください。
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