会社勤めのサラリーマンにとっての収入は毎月の給料とボーナスを合わせた給与収入がメインです。これはあたり前ですね。
ですが、それ以外にも収入を得る方法があったりします。
今はやりの副業。。。というものではなく会社から給与以外でいただくお金です。
残業や休日出勤なども一つの手段ですがこれは給与の一部と考える方が一般的でしょうか。
その他にも探すと結構こまごまと報奨金の類があり、うまく活用するとサラリーマンとして合法的な副収入を得ることが出来ます。
そんな収入の中で今回は特許収入について私の経験です。
あ、特許と言ってもそんなに大げさな話ではありません。
これは特別な、例えば以前話題になった青色LEDのような億単位の話ではなくごく普通の話です。
特許って企業の宝物
会社で技術職として働いていると、大げさなものではないのですが、「あれ、これ今までなかった技術だな。」というシーンに結構巡り合います。
そういった、少しのことでも意外と独創性が認められ、特許として登録されるケースがあります。
会社としても特許は将来の財産になる可能性がありますので、特許出願にはそれなりに力を入れています。極端な話、特許収入で食っている会社もあるほどです。
私は前の会社に在籍していた時には技術職でしたので、それなりに特許を考案し出願していました。
この作業が結構面倒ではあるのですが、前述のように企業として特許というものは重要なので出願を奨励されていました。
具体的に目標が決められています。技術者ひとりで年〇件出願することというように、提案ノルマが課されていました。
特許ってかなり面倒
技術者なので新しいことにチャレンジし、新技術を開発するというのは非常にやりがいがあるものです。ましてやそれが特許として認められれば嬉しいものがあります。
しかし、この特許の出願というのが非常に面倒です。様々な書類を作成する必要がありますし、お役所(特許庁)から新規性が無いですよ(拒絶といいます)と言われればさらに反論する書類を準備しなければなりません。
これが面倒で特許の出願を避ける技術者も結構いました。ただでさえ忙しいのにお役所向けの書類を作るのは面倒ということです。
(一度特許庁で出願文書を閲覧してみてください。独特な文章で何が書いてあるかわからないと思います。それを書かなければならないとなるとホント腰が引けてしまいます。)
※特許に対する企業文化の違いがあると思いますので、あくまで私が勤めていた会社の話です。
特許を提案するだけでご褒美を用意
この面倒な特許の提案ですが、会社側も出願することについて出せというだけではなく報奨金を準備してくれていました。
私も提案ノルマと多少はご褒美がいただけるということで、積極的ではないですがこの面倒な書類作成・出願手続きを年に何件かはしていました。
そしてその面倒な作業と引き換えにいただけるご褒美は次のようなものがありました。
※会社によって違いはあります。
提案報奨金
まず、特許になるかどうかは別にして提案するともらえる報奨金です。
これは自分が持っているアイデアを書類にして社内に提案する段階です。
この提案書類の作成はそれほど手間ではありません。
ただし、これが特許のタネになりますので会社側も報奨金を準備してくれています。
この社内提案でいただける報奨金は当時私が勤めていた会社で1件5,000円ほどでした。
特許出願の報奨金
社内提案したアイディアは社内にある知的財産管理部門で検討されます。
特許のデータベースを検索し既に出願されていないのか?この技術を採用した場合の製品の独創性は?などなど検討がなされます。
様々な審査を受け、正式に特許庁に出願することが決まると特許庁へ提出するための出願書類を作成しなければなりません。
これがかなり面倒です。
説明文書は普通の文面ではなく特許出願書類独特の専門用語を用いながら作成しなければなりませんし、判りやすいような発明の概要図なども書かなければなりません。
この書類、専門性が高すぎて自分の手に負えないときは、会社が契約している特許事務所の弁理士さんに相談するのですが、基本的には自分で全て作成しなければなりません。
これが面倒で最初の社内提案を避ける社員もいるほどです。
これが無事終了し、出願書類を特許庁に提出した段階で会社から報奨金がいただけます。
その金額は私の記憶では1件10,000円ほどだったと思います。
その後無事特許庁で特許が認められ(何度か出願書類の修正や異議申し立てなどが必要で、これがまた大変)登録されるとさらに報奨金がいただけます。
確か1件20,000円でした。
この収入を得るための難易度はどのくらいか
この特許(発明とも言います)に関わる会社の報奨金、もらうための難易度はどのくらいでしょうか。
大抵の場合、出願までの報奨金はいただけます。(社内の審査で落とされるような稚拙な発明は例外として)
しかし、さすがにお役所相手に特許が認められて登録されるのはかなり難しいです。
ですので、特許登録の報奨金は絶対にいただけるわけではありませんが、それでも何度かは頂くことができました。
出願までの15,000円はまあまあ簡単にもらえます。
そこから頑張って最後の難関(特許登録)をクリアすると最終的にトータルで35,000円を手にすることができます。
貰ってしまえばそれまでの苦労は忘れてしまって臨時収入としては結構有り難かったです。
そしてその特許が大化けするとき
ここまでは金額にして35,000円。これで終わりなら大したこともなく手続きが面倒で提案を避けるという社員がいることも何となくわかります。
しかし、ここからがお楽しみ。さらにこれ以上の報奨金がもらえる場合があります。
この特許を使った製品が実績を上げた時です。特許のおかげで利益があったと認められればその実績に応じて報奨金がいただけます。
私がそんな経験をしたのはこれから紹介する1度だけです。
皮肉にもリストラで手にした報奨金
それは、ある意味残念ではあるのですが、私が担当していた事業を会社が撤退することになった時です。
事業のリストラです。その時、私はリストラされずに済みましたが。
ただし、その事業が全くダメというわけではなく競合他社にその事業を売却することができました。
その事業に使われている製品には私が出願し、登録されている特許が使用されていました。
事業売却の条件がその特許も譲るという事でしたので、事業を売却した利益に私の特許も貢献したという評価になりました。
事業の売却なのでその事業売却額は億単位です。
その金額は驚きの50万円
私は事業の売却に特許も含まれるなどとは知る由もありませんでした。
そして、それからしばらくして会社側から報奨金がいただけるとの通知が来ましたがイマイチぴんと来ていませんでした。
しかしその通知を見て驚きました。
その報奨金の金額がなんと
約50万円
だったからです。
会社の給料をいただきながら開発してそれを特許として登録しただけなのにこれほどの報奨金をいただけるとは心底驚きました。
当時業績不振でボーナスカットなどされていましたので、この報奨金は非常にありがたかったのを覚えています。
これをきっかけに特許の提案に力が入ったのは言うまでもありません。
退職後にもお楽しみは続く
この特許など発明に対する報奨金。実は退職後もいただける可能性があります。
発明は全て会社として特許登録するのですが、発明者として社員も登録されますので、退職しても発明者としての権利は残っています。
もし、その特許の技術を使った製品が実績を出せれば今はもうその会社の社員ではない私ですが報奨金の対象にはなっています。
その為、今でもその会社の特許を扱う知的財産部門には私の銀行振り込み口座を登録しています。
これ、何気に楽しみです。
私の名前で特許が登録されているだけでなく、もしかしたら収入が得られるかも知れない。
これは夢があります。
これが技術者(エンジニア)のだいご味
実際は高額な報奨金がもらえるような発明などそう簡単にはありません。
私も大きな金額になったのはこの1件だけです。
それでもこんな風に夢を見ることが出来る。これはエンジニアのだいご味といっても良いのではないでしょうか。
その会社を退社しても、発明という形で足跡を残すことが出来る。
今、エンジニアとして働いている方々、ぜひ特許に目を向けて報奨金をゲットしてもらいたいと思います。
ちなみにこの報奨金ですが源泉徴収されませんので、確定申告が必要です。
その面でも面倒ですね。
しかし良いことばかりではありません。こんな苦い思いもしています。
下町ロケットの特許係争シーンで嫌な過去を思い出す

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