最近巷では政府と官僚との関係など話題になっています。
怪文書が出ただとか忖度がどうしたとか。
連日こんなニュースを見ていたら、官僚つながりで昔のことを思い出しました。
そんな私が経験した官僚の方々との思い出話を書きたいと思います。
それは、今から10年ほど前、私がまだ早期退職した会社に勤めていたころの話です。
当時、電機メーカーで開発の仕事をしていた私は、ある新製品の発売に向けて精力的に業務に励んでいました。
その新製品ですが、発売に当たってちょっとした問題を抱えていました。
ほとんどの工業製品はそうだと思いますが、日本で販売するためには日本の法律や規制をクリアする必要があります。
電気製品の場合「電気用品安全法」や「JIS規格」などが代表的なものでしょうか。
開発している新製品も当然これらの法規制に準じる必要があります。
ですが今回の新製品は今までにない新しいものですので、これらの法規制の枠組みでは対応できないことが判りました。
ややこしいですが、従わないといけない法律を見てみるとこの製品が属する型式の区分がないという状況です。
区分がないなら法律の対象外という訳ではなく、この法律に新たに対象を加えてもらわないといけません。法律の改正が必要ということです。
法律を改正するには、監督官庁である経済産業省に対応して頂かなくてはなりません。
ということで、思わぬ形で中央官庁のお世話になることになりました。
そして運悪く担当である私がこの中央官庁の官僚の方々と対峙しなくてはいけなくなってしまいました。
その後、色々とやり取りはあったのですが、我々の進め方も悪かったのでしょう。
結局この手続き(法改正)に2年くらい時間を費やしてしまことになります。
2年も発売が遅れたため、製品の売り上げに思いっきりマイナスとなってしまいました。
今となれば残念な記憶です。
(この辺りもお役所は淡白でした。こちらは商売がかかっているのに。。。)
この法改正に関わる生々しい話については、ここでは書きにくいので書きませんが、これから書かせていただくのは、その時にお役所の洗礼に遭った経験談です。
ある日、お願いしていた法律改正の件で経産省からお呼び出しがありました。
担当者が具体的な話を聞きたいとのご要求です。
さすがに経産省の方はお忙しいようでピンポイントで面談日が指定されています。
その指定日がなんと8月の中旬、盆休みど真ん中です。
たしかに暦上では平日で経産省のような官公庁は普通に仕事があると思いますが、まさか企業が休みの日を指定してくるとは。。。
厳しいですが天下の中央官庁からのお達しですのでこちらに拒否権はありません。
そこは相手のことを忖度しつつ指定の日時にお伺いすることにしました。
...で、盆休みの真っ最中のある日。
先ほども書いた通り、会社は休みです。
休日出勤での出張ということで私と同僚の2名で経産省へ向かいました。
我々の勤務先は工場ですので、地方在住です。
その地方から東京への異動は結構遠く新幹線など乗り継いで約3時間。
午前中に来いとの事でしたので、早朝に出発して向かいました。
そうして早起きと休日出勤独特が原因のけだるさを感じつつ無事、霞が関の経産省に到着しました。
入り口で荷物検査を受け、いざ面談に臨みます。
ところが...
「担当者不在。。。しかも連絡取れない。休みかどうかも不明。」
「うそでしょ!」(心の叫び)
まさかの事態ですが嘘でも何でもなく本当に呼び出した本人が不在という状況です。
前もって連絡もありません。
では代わりの方はという問いに対しても、担当者しか判らないので出直してくださいとの事。
「まじですか。」(心の叫び)
結局これ以上粘っても仕方がないので失意の中、庁舎を後にしました。
この間約30分間。
片道3時間かけてしかも会社が休みの中駆けつけてこの扱いです。
その苦労が一瞬で無駄になってしまいました。
そして足取りも重くまた3時間かかる帰路へと向かいました。
結局今回の呼び出しへの対応ですが、時間と交通費、ダブルの無駄使い。
あ、休日出勤で休出手当もついていますので会社としてはトリプルでした。
そんな、相手に損失を与えるようなことは普通の会社対会社では絶対にありえません。
こんなことをしているとお互いの信頼関係に傷がついてしまい
ます。
ます。
ですが相手はお上です。
我々とは常識が違うようで謝罪もなく後日別の日程で再度お呼び出しがありました。
そしてそれに従うしかない私たち。
何しろ新製品の発売がかかっていますので逆らう訳にはいきません。
「そんなに中央官庁というのは偉いのですかね~。」
そう心でつぶやきながら、再面談に臨んだ記憶があります。(また片道3時間の移動)
...そんな苦い思い出が最近の報道で思い出されました。
多少の理不尽なことはお上では当たり前なのかなぁ。
これが私の率直な感想です。
皆さんどう思います?
このエピソードは序の口で、他にもいろいろと振り回された経験はあるのですが、なかなかブログに書く勇気が出てきません。
機会と勇気と需要があれば次の機会に書いてみたいと思います。
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