今の会社に転職して数年経ち、新しい職場に慣れてきたとともに以前の会社での出来事を冷静に振り返ることが出来るようになりました。
思い返せば結構面白い経験もしています。
このブログでは早期退職から転職するまでの記録、将来への資産確保などに悪戦苦闘する話を日記的につづってきましたが、思い出話として前の会社で経験したことも時々書いていきたいと思います。
もう、10年以上前になります。当時私が所属していた部署で扱っている製品を中国に製造委託しようという計画が持ち上がりました。
理由はコストダウンです。
自前の工場での海外生産ではなく、中国の会社に生産してもらうというプロジェクトでした。
色々と苦労はありましたが、今回はその事業が軌道に乗ってきてからの話です。
製造委託も順調に進み最初はいなかった「現地スタッフ」も一人ですが採用できました。
採用当初は日本語ができるとは言っても当然業務上の専門用語などは判るはずもなくスムーズに仕事が進まないこともしばしばありました。
たまたま、私が業務上一番関わりがありましたので、頻繁にやり取りをすることになります。それなりに相性が良かったのか1年ほどすると友人のような関係になっていました。
ところで、中国での私の立場は製造委託先から見ると「お客様」です。
そうなると、先方は当然わざわざ日本から来ている客なので「夕食をご馳走します」となります。
毎回結構高級そうな中華料理のレストランでごちそうになりました。
これはこれで有りがたいのですが、やはりこちらも気を使います。しかも食事といっても大量にお酒を飲まされることになりますので、あまり強くない私には結構つらいものでした。
そこで、相手の気分を害しない程度に食事をお断りするようになりました。
断るのは良いのですが、そうなるとどこで食事をするかで悩みます。
上海などでは日本食レストランなども沢山あり、そこでは日本語も通じますので私だけで食事に行っても不都合はありません。
しかし、せっかく海外に行っているので、高級ではない普通の中華料理を食べてみたいと思いました。当然日本語は通じません。しかも日本人と判ると同じ料金でも日本人価格になったりするようでした。(今はそんなことは無いでしょうが)
そこで、仲良くなった現地スタッフ(仮にTさん)と一緒に食事に行くようになりました。
そんな感じで何度目かの食事のときです。(ちょうど夏場でした)
Tさんから提案がありました。
Tさん 「tobiuoさん。実は上海(一番多く出張していたのは上海です)では夏になるとみんなが食べるものがあります。」
私 「へー。それってどんなもの?」
Tさん 「エビを使った料理です。夏場だけしか食べられません。どうですか?」
私 「面白そうですね。食べてみたいな。」
ということで、その場でオーダーしてもらいました。
そうして待つこと15分くらいでしょうか。
大皿に盛られた「それ」が運ばれてきました。赤く色づいています。
それを見て一瞬息をのむ私。。。
皿には大量のザリガニが盛り付けられていました。
アメリカザリガニが唐辛子で料理されており色鮮やかです。
私 「Tさんエビ料理ってこれですか?」
Tさん 「そうです。おいしいですよ」
確かにアメリカザリガニは食用になることは知っていましたがそれが中国の上海で夏の名物になっているとは全く知りませんでした。
しかし、私は食に関してあまりNGはありません。
ザリガニとはいっても確かにエビの一種です。しかもTさんお勧めなら食べないわけにはいきません。平静を装い一口。。。
結構いけます。というか辛みが効いていておいしい。
「美味しいですよ。Tさん」というと彼は本当にうれしそうでした。
やはり、地元の料理をおいしそうに食べてくれると相手側の親近感が増すようです。
この一件でよりTさんとは打ち解けることが出来たような気がします。
ただし、Tさんにはひとこと言っておく必要があります。
「Tさん。日本語ではこれをエビとは言いません。今後日本から来る人にはザリガニと言ってください。」
私の場合は良いのですが、私の上司などがこの“トラップ?”にはまると大変なことになります。Tさんが、えらい怒られる可能性が高い。
Tさんの指導役を拝命している私としてはその点はしっかりと注意をしておきました。
それ以来、毎年夏になると出張先でザリガニを食べるようになった私。。。すっかり夏の風物詩になりました。
しかし、それも転職してしまいましたので、今は夏になっても食べることはありません。
そうして、この時期になるとザリガニが食べられないことが何となく寂しくなっている自分がいます。
※決してザリガニが大好物という訳ではないですよ。
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