私にも漸く夏や海がやって来ました。
少しゆっくりしようかと思い、本を読むことにしました。
「わたし、型屋の社長になります」という小説です。
価格:745円 |
元々大手の会社に努めていた主人公が父親の後をついで中小企業の社長になり、奮闘するという物語です。
正直、読み応えという点では物足りなさを感じましたが、あるフレーズが目に止まりました。
「納期遅れ率88パーセント」
日本の中小企業ではこのくらいの率で納期を守れないということだそうです。
逆に言うと注文の1割程度しか納期通りにものが作れない。。。
この数字の真偽は判りません。
ですが、これを見て私が今の会社に転職してから抱いていた違和感が少し判りました。
今勤めている会社は、大手のメーカーから注文を頂いて製品を製造する一次下請けです。
当然、生産は客先の注文に従って計画し、納品する必要があります。
私の感覚では、「約束した納期にきちんと納品しなければ大ごとになる。」です。
しかし、度々納期遅れが発生していました。
客先が問題視して、工場に乗り込んでくることも何度かありました。
信用をなくして、失注してしまえば会社の存続自体が危ぶまれます。
しかし、どうも会社に危機感が乏しいような気がしていました。
当然ものづくりにトラブルはつきものです。
ですが、それぞれの担当者が何かあった時に適切な対応を取れば事なきを得るのに何もしない。
そして、取り返しがつかない状況になるまで本人からは情報が出てこないという不思議です。
大抵の場合は、その業務の担当ではないものの、危機感を持っている従業員の何人かが、ぎりぎりのタイミングで手を売って最悪の事態を回避するという状況です。
どうしても担当ではありませんので、致命的一歩手前になるまでは動きにくく、毎回ドタバタが続く事になります。
そうして何とかなったので、「社長は何とかなって良かった」と一件落着宣言をします。
そこには、今回の事を反省し次に活かすという姿勢はありません。
そして、しばらくすると次の危機がやってきます。
早めに動いていれば大したことがないのに土壇場にならないと動けない。
忙しいだけで何も新しい成果は生み出せません。
まさに負のスパイラルです。
こういったことがこの本を読むと少し腑に落ちました。
そもそも、納期厳守の感覚が麻痺しているということ。
遅れても謝ればその場は収まるという考え方があるのだとは。
このことに気づかせてくれました。
救いは、一部の社員ですが危機感を持っていること。
直接の担当ではないのでギリギリまで手を出せませんが、そのギリギリのタイミングを見計らって適切な手を打ってくれています。
ギリギリな分その人には大変な負担が生じますが、そのおかげで会社が救われていることも確かです。
ただ悲しいかな、管理職クラスがいまいち危機感が薄い。
私もその管理職の一員ですので、この状態を放置せず、何とか会社が変われるように動きたいと思います。
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