
会社の運営を少しですが担っているとたくさんのお金が出ていくところを目のあたりにすることになります。
設備投資などは後々それがお金を生むと思えばキャッシュフローの問題だけで済むのですが、そうでもない投資を行わなくては行けないケースもあります。
その時にうまく使いたい助成金。
今回は喫煙室の設置費用について助成金をいただきました。
その過程で「?」と思ったことがあります。
手狭になった工場で何を犠牲にするか
今の会社に転職してかなり経ちました。
お陰様で業績は比較的順調でした。最近は円安や電気代高騰で怪しくなってきましたが。
なにしろ設備の稼働率は年間通して100%近くで推移しています。
これ以上の増産は年末年始とかにある休みを削るしかないという状況。
これはこれで問題ですので何らかの対策を考える必要が出てきました。
単純に考えると生産設備の増強が手っ取り早いです。ただし、かなりの高額出費を余儀なくされます。
しかし、売上が上がれば利益も上がると考えれば、いずれペイできますのでこの投資は社長の理解を得やすいです。
ただ、これを進めるには問題が。。。場所がない。
工場内にスペースがなく、もし新しい設備を入れるとなると何かを撤去するなどして場所を空ける必要が出てきます。
とは言っても更衣室、トイレなどはなくすわけにはいかないしなあ。。。
そんなことを考えていたのですが実は一つ撤去できる候補がありました。
その特になくても良い施設とは、「喫煙室」です。
穏便に喫煙室を撤去したい
私の若い頃はオフィスの自席でタバコを吸うのは当たり前、机の上には吸い殻で満タンの灰皿っていうものもよく目にしていました。
私は昔からタバコを吸う習慣はなかったのですが、横の席で喫煙されても特に目くじらを立てることもなかったですし事務所で喫煙は普通の光景でした。
しかし、時代は変わり今や分煙の時代。
どこの会社でも事務所内での喫煙などご法度中のご法度です。
会社によっては全面禁煙に踏み切るところも出てきている模様。
そこまで行かなくても喫煙室など専用スペースを設けることが義務付けられています。
我社も例にもれず工場内の一角に割と大きめな喫煙室がありました。
ぜひ、これを取っ払いたい。
取っ払うのは簡単ですが、では喫煙者はどうしたら良いのでしょうか。
「タバコを吸うな!」
タバコを吸ったことがない私からすればこの一言で済みそうなものですが、敵は常習性のあるタバコです。
隠れてトイレで吸うとか素行の悪い高校生みたいなことをされても困りますし、そんな社員の姿も見たくない。
屋外に灰皿だけを置いて「はい、今日からここが喫煙所ね!」という作戦もあるにはありますし、割とこうしている会社も多いようです。
でも、できたら雨露くらいは凌いであげたい。でもお金はない。
そうしたところ助成金の存在を知りました。
半額補助目当てに申請を進める
受動喫煙防止対策助成金
中小企業を対象とした新たに喫煙室などを設けた場合にかかった費用の最大半額を助成してもらえるというこの制度、これを使えばなんとかなるのではないかと考えました。
早速見積もり開始。
屋外にプレハブの中古ユニットを設置し換気扇などを制度が決めている基準に合わせて増強します。
このお値段が約140万円。
半分助成金がもらえるとすると約70万円で設置が可能。
この金額でも決して安くはないですが、なんとか社長の了承も取り付けられました。
この助成金の申請ですが、誰がやるの?となりますが「私がやります!」と言う奇特な社員がいる訳もなく、結局言い出しっぺ(?)の私がやることになりました。
タバコも吸わないのに。。。
しかしこの申請、結構書類の作成が面倒です。
わざと面倒にして助成金を断念させようとしているのではないかと疑いたくなるレベルです。
しかしくじけません。
なんとかインターネットでダウンロードした申請の手引を見つつ、ヒイヒイ言いながら結構な量の書類を作成しました。
そしてこの書類を携えてお役所に乗り込みます。
まさかのエアコンNG?対策は?
申請先は地元の労働局です。
事前にアポを取って伺いました。
初めて作った書類ですので不備があることを見込んで一応「相談」という体です。
案の定、いくつか不備を指摘されました。
ただ、修正は簡単でこれならそれほど手間はかからないな。
先が見えてきた。
。。。と安心した矢先に想定外の指摘が入りました。
「あー、これでは助成金の認可は出ないですねえ。」
「え!?」
「これ、エアコンついてるでしょう。喫煙所にエアコンは贅沢品になるのでこれがついてると助成の対象外になるんですよ。」
そうか。。。タバコを吸いたかったら快適さは犠牲にしなくてはならないのか。。。
でも、購入しようと思って既に抑えている中古のプレハブはエアコンがもともとついています。
社員にも「エアコンつけといたから」と得意げに伝えてしまった手前今更、「我慢せい!」とは言いにくい。
何か抜け道はないものか。。。
明らかに動揺している様子の私を見かねたのか助け舟を出すお役人さん。
「エアコンをつける必然性があれば認可されますよ。
必要性を説明した理由書を追加で添付してください」
エアコン…必要性…理由書…
呪文のように口ずさみながら会社へと戻る私。さて、どうしよう。
無事認可される。理由書に書いた内容とは?
エアコンをつけることを納得させる理由ってあるのか?
頭を悩ませた結果ひねり出した理由は社員の体調維持でした。
当社には業務上交代勤務をしている社員もいます。
交代勤務ですので当然夜間や早朝も働いています。タバコを吸える休憩時間は深夜3時や早朝5時頃にも設定されているのですが、冬場などは最も気温が低い時間帯になります。場合によっては氷点下にもなります。
そんな環境に社員を晒すことは健康を損ねる可能性があり、社員の体調維持のためにもエアコンは必要。
こんな理由を考えました。
早速これを元に理由書を作成。再度書類を労働局に持参します。
理由書を見た担当者からは、
「多分これで大丈夫でしょう」との見解をいただきました。
そして書類を提出し、待つこと1ヶ月。
無事認可されました。
その後設置工事を行い、無事に稼働を開始しました。
冷静になって考えると矛盾してないか?
無事工事が終わってからも、完了報告や実際にタバコの煙の漏れ量の測定など面倒なことは続きますがそれらもなんとかクリアし、半額の助成をいただけました。
社員もまあまあ快適な喫煙室に不満はない様子です。
これで一件落着ですが、落ち着いてみると少し違和感が残りました。
エアコンを付ける理由です。
理由書では社員の健康を維持するための環境を整えるためにエアコンを設置するとしました。
実際これが認められ、助成金をいただけた訳です。
でも、そもそも喫煙って健康を害するよなあ。。。
健康を害する設備の居心地を良くしていいのかな?
分煙の費用も抑えられて丸く収まっているからまあ良いんですけどね。
コメント