不正と正義のはざま…サラリーマン(エンジニア)時代の記憶。

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ここ最近日産自動車の無資格者検査や神戸製鋼所のデータ改ざんなど大企業の不正が相次いで発生しています。
まさか、こんな大企業が不正をやっているなんてと思ってしまいますが、大企業と言えども最終的には担当する社員個人に業務がゆだねられている以上、ちょっとした落とし穴や誘惑が目前に現れることは全くないとは言えません。


特に、「資格が無くてもちゃんとやっているので大丈夫だ」だとか「“少しだけ”データをいじれば仕事が進むのに」というような正と不正の境界線に立った経験は会社員なら一度や2度はあるのではないでしょうか。
一線を越えたかどうかは別にして。

これらのニュースを見て、私が過去に直面した誘惑をふと思い出しました。
これを機会に、誰もが大なり小なり経験しているのではないかという一例を今回紹介したいと思います。


あれは私が早期退職する前、その会社で頑張っていた頃の話です。
私はある製品の開発を担当していたのですが、その製品は製造を海外のメーカーに委託していました。


その国で生産したものを日本に輸入していたのですが、折角なので、製造しているその国でも販売しようという話になりました。


技術的には対応はそれほど難しくはありません。少しアレンジするだけです。
ですので、製品化に当たって一番手間がかかるのは、技術的な問題ではなく、その国の認証を取らなければならないということでした。


こういった「製品の認証」というのはどこの国でも避けては通れません。
例えば日本の場合だと代表的なのはJIS規格です。
それらの規格に合わせた製品を開発し、場合によっては認証機関でテストをして規格を満足していれば製造・販売許可がいただけます。


今回もその国の規格を調べて、その製品の性能が規格に入っていることを確認したうえで公的機関の認証試験に臨みました。
まあ、問題なく合格するだろうと楽観していました。ところが。。。


認証機関に試験用のサンプルを提出して1ヶ月が経過したころ、会社の現地スタッフから連絡がありました。


「認証試験、不合格と連絡が来ました。」
予想外の結果です。数ある試験項目の内、一項目だけ不合格となったとの連絡でした。
もちろん不合格品を提出するわけがありません。
当然社内でのテストでは問題ありませんでした。
どうしたものかと思案していると、現地スタッフは次の話に進んでいきます。


「試験機関の担当者は方法が二つあると言っています。
 ひとつめは、改善したサンプルを提出して再試験を受けるという方法です。」


これはまあ、ごく一般的な対応です。
問題は再度同じ手順を踏まないといけないので時間がかかることと、再サンプルが本当に試験合格するのかが不透明なところです。
何しろ社内テストでは今のサンプルでも問題ないはずなので。


そして、もう一つの方法...これが曲者でした。


「もうひとつの方法は、試験機関で今提出しているサンプルを修理してもらう方法です。」
・・・製品は分解できない構造なので修理は出来ないはず。


「ただし修理代に日本円で2万円ほどかかります。」


一瞬意味が分かりませんでしたが、話を聞いているうちに飲み込めてきました。


早い話が金を払えば合格させてやるっていうことです。
当然修理代2万円は担当者の懐に入るのでしょう。


これは不正ですので、当然先方の提案は拒否するべきなのですが、問題は日本ではないところでの話という事です。
再試験には時間もかかりますし、そもそも「修理代」目的なら合格したものでも不合格と言いかねません。
そうすると私たちからいくら改善サンプルを出しても無駄になる可能性もあります。


この対応によっては製品の発売自体が出来なくなるような事態です。どうすべきなのか?


その時はもう一度正攻法で行こうという事で、再度サンプルを提出することにしました。
サンプルは絶対に不合格と言わせないくらい完璧に仕上げました。
その結果、無事合格。何とかその国で発売することが出来ました。


ですが、この事例、一歩間違えば検査機関のデータ偽造に乗ってしまったかもしれません。
会社として業務計画で発売が決まっているものを2万円で計画通り進むのなら安いものだと考えてしまっていた可能性も十分あります。
いち担当者にとってはこの誘惑、かなり魅力的なのは間違いなかったです。


これ、一線を越えなかったのは決して私が清廉潔白だからではありません。
本当にたまたまです。


恐らく当時の私もこの修理という話に乗ったとしても、さほど罪悪感は感じなかったかもしれません。
そして一度こういった事をしてしまうと次から歯止めが利かなくなってしまったのではないかと思います。


そうなると、その「少しだけ」が積み重なって最終的に大事件に発展してしまっていたかも
しれません。
その時はたまたま、上司に相談しようと思った事。
上司が問題解決するまで発売延期やむ無しと判断してくれたこと。
その結果で一線を越えずに済みました。


このように、意外と企業に勤めていると不正への分かれ道に立たされていることがあります。その時に変な流れが出来ているとイチ個人がそれにあらがうのはかなり難しいと思います。


今回の2社の不正もそんなシチュエーションだったかもしれません。
そうなると担当者は不幸です。
怒られた挙句、業績悪化にでもなったらリストラされるかも。。。
悲惨です。同じサラリーマンとして少し同情してしまいました。

もちろん、いけないことなんですよ。

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